「最近の子どもはあごが細い」
「噛む力が弱くなっている」
という話を耳にしたことはありませんか?
柔らかいものばかり食べていると顎が鍛えられず、噛む力が弱くなり、あごが発達せず細くなります。そのままでいると、正しい位置に歯が生えず歯並び・噛み合わせが悪くなってしまいます。
乳歯から永久歯に生え変わる時に顎が細いままだと狭いスペースに永久歯が生えるため、スペースが取れず、ガタガタになってしまいます。
そのため、小児矯正という治療がよく行われるようになりました。
小児矯正はいつからやれば良いのか、メリット・デメリットだけでなく、マウスピースなどの費用についても詳しくまとめました。
✔小児矯正の基本
✔小児矯正の種類や費用
✔小児矯正のメリット・デメリット
この記事の目次
小児矯正について
小児矯正とは、その名の通り子供の時期に行う矯正治療のことです。歯列矯正は大人になってからでも可能ですが、子供の時期から矯正を行うことによってより理想的な治療を行うことが出来る場合があります。
その理由は、大人の場合は歯を動かすだけの矯正になってしまいますが、子供の場合は顎の成長をコントロールしながら矯正を行うことが出来るからです。
大人の歯並びになるにつれて歯並び、かみ合わせに不具合が生じてきますので、子供の矯正は不具合が生じる前の予防矯正となります。
小児矯正のメリットとデメリット
メリット
子供の時期(歯の生え変わりの時期)は、骨の成長が起こるため、あごが発達しやすい時期です。この時期は歯の移動だけではなく、あごの発達も視野に入れて治療(1期治療)を行います。
この時期での治療はあくまで将来的に歯並び・かみ合わせが有利な状態となるための治療です。
もちろんこの時期での治療によってすべての患者様が将来的に治療が100%必要なくなるわけではありませんが、この時期での治療によって
将来的に抜歯をせずに治療が行える
将来的治療期間が短期間で済む
取り外し装置によって精神的負担が軽減できる
というメリットがあるため、非常に重要な治療時期です。成長の予測身長の予測ができないことと同じであごの骨の予測も誰にもできません。つまり骨のコントロールには子供の矯正では完全に防げない場合もあります。その場合は大人の矯正治療に移行する場合もあります。
デメリット
最大のデメリットは子供の矯正はほとんどの場合、アゴの骨の成長が終わる15歳前後まで経過を観察する必要があるため、矯正期間が長くなることです。
その矯正期間中は一時的に見た目が悪くなることがあります。 (矯正装置が見えたり、一時的に歯並びが悪い状態になったりする)
それに加えて、矯正中はブラッシングが行き届かない場合もあるので基本的に虫歯になりやすくなります。
また、受け口の場合は大人になってから外科矯正が必要となるケースが多いので、小児矯正を行っていても、まれに大人になってから再度矯正が必要になることがあります。
小児矯正の開始時期について
子供の矯正治療は、小学生~中学生の最初ぐらいまでの時期(第一期)と、中学生以降の時期(第二期)の2段階に分かれます。
成長期を利用する治療なので期間限定ですが、その時期も人によってさまざまです。
下のおとなの前歯4本と上のおとなの前歯2本が生えてきた頃がちょうど良いタイミングです。
第一期治療(小児矯正)
永久歯が生え揃うまでの時期に行う矯正治療です。
主に、あごの成長発育や前歯・奥歯の生え方をコントロールすることにより、きれいな歯並びのための土台作りをします。
時期によって固定式のものと取り外し可能なものがあります。固定式の装置は、虫歯予防のためにしっかり歯磨きをすることが欠かせません。
この時期に治すことができない問題(歯のサイズが大きすぎる、あごの成長量の問題が大きいなど)がある場合は、中学生以降の治療(第二期治療)が必要となります。
第二期治療
永久歯が生え揃ってから行なう矯正治療です。
主に、永久歯を適切な位置に整え、歯並びや噛み合わせの改善をします。
この時期の治療では、大人の矯正と同じ装置を使います。
第一期治療ではあごの成長など土台作りをしましたが、それでも対応しきれないほど大きな歯が生えてくる場合や、あごの成長量が標準的でない場合は第二期治療が必要となります。
第二期治療が必要となるケースでも、第一期治療で土台が改善されていると、よりよい状態で第二期治療を受けられます。
なぜこどもの内に矯正治療をするのか
子供の矯正治療は、おもにあごの成長をコントロールすることにより、きれいな歯並びのための土台づくりをします。
矯正治療をすることで、見た目がきれいになるほかにも、さまざまな効果があります。
虫歯、歯周病の予防
歯並びが悪いと食べものや汚れがたまり、虫歯や歯周病になりやすくなります。矯正治療で歯並びを整えると歯磨きがしやすくなり、歯の病気の予防になります。
噛む能力が向上する
歯並びを整えると咀しゃく機能が向上します。その結果、食事がおいしく感じられ、さらに消化吸収が促進されます。
発音が改善される
発音は歯並びと舌の動きに大きく影響されるため、矯正治療によって発音が改善される場合があります。
集中力がアップする
矯正治療で噛み合わせがよくなると、脳に刺激が伝わりやすくなります。正しく噛むことは脳細胞の活性化につながり、情緒の安定や集中力アップが期待されます。
生涯の医療費の軽減
虫歯や歯周病を予防することで、生涯にかかる医療費が減ることが指摘されています。
小児矯正の費用について
「子供の歯科矯正といっても、大人と同じくらい高額なのかしら?」
子供の歯科矯正の費用について、不安に思っている親御さんも少なくありませんよね。子どもの歯科治療は、歯科医院によって設定した治療料金やプラン、料金体系などが異なります。
さらに「1期治療」だけで終了するのか、「1期治療」と「2期治療」を両方受けるのかによっても、治療にかかる費用が大きく変わります。
以下で治療の流れとともに、費用の相場を算出してみたので参考にしてみてください。
小児矯正歯科治療スタート前にかかるお金
内容 | 費用の目安 |
初診相談・カウンセリング料 | 無料~ 約5,000円(税別) |
精密検査・診断料 | 無料~ 約5万円(税別) |
歯科治療スタート前のトータル費用 | 無料~ 約5万5,000円(税別) |
初診相談・カウンセリング料:無料~約5,000円(税別)
初診相談では、歯並びや口内の状態、治療に対するお子さん・保護者の希望、どんなことが気になっているのかを、歯科医師が詳しく伺います。その後、歯並びの問題点や矯正治療の流れ、治療期間、治療費用などについて説明します。
初回のカウンセリングは無料という歯科医院もあるので、子どもの歯科矯正を迷われている方も、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
精密検査・診断料:無料~約5万円(税別)
初診相談やカウンセリングを受けて治療を希望する場合、顔や口内のレントゲン撮影などの精密検査を行い、お子さんの歯並びや顎の問題点を確認します。検査結果をもとに、具体的な治療計画を立てていきますが、必要であれば、治療開始前に虫歯や歯周病の治療を行います。
トータルフィー制(総額制)の場合、精密検査や診断料などが矯正治療費に含まれ無料となる歯科医院もあります。
矯正歯科治療中にかかるお金
子どもの矯正歯科治療は、歯並びの症状や使用する装置の種類によって費用に大きな幅があります。
たとえば、「1期治療」のみで治療が終了するケースや「2期治療」から始めるケース、「1期治療」から「2期治療」へ移行して両方行うケースによっても費用は異なります。
「1期治療」の費用相場:約10~50万円(税別)
「1期治療」では、咬み合わせの状態や歯列の発育に応じ、床矯正装置やマウスピース型装置、拡大装置などを使い分け治療を行います。
おもな治療方法 | 費用の目安 |
床矯正装置で治療 | 約10万円〜 40万円(税別) |
マウスピース型装置で治療 | 約10万円〜 50万円(税別) |
拡大装置で治療 | 約10万円〜 40万円(税別) |
まれに「1期治療」から、歯1本ずつにブラケットという留め具をつけ、そこにワイヤーを通して歯を動かすマルチブラケット(ワイヤー矯正)で矯正治療を行う歯科医院もあります。
「マルチブラケット」による治療費用は、一般的な「1期治療」よりも高額になります。
装置が目だちにくい「審美ブラケット」の場合、さらに費用がかかることがあります。
治療装置の種類によっても費用は異なり、使用する装置の数が多ければ多いほど高額になります。
症状が軽い場合は装置の交換も少なく済みますが、歯並びや顎の改善経過によっては装置の交換数が増えることがあります。
装置の種類 | 一装置あたりの費用例 |
床矯正装置 | 約3万円〜 5万円(税別) |
マウスピース型装置 | 約1万5,000円〜 2万円(税別) |
拡大装置 | 約3万円〜 5万円(税別) |
ペンデュラム | 約3万5,000円〜 5万円(税別) |
リンガルアーチ | 約3万円〜 5万円(税別) |
また、指示通りの装着時間や使用方法を守らないと、期待通りの治療効果が得らません。
治療装置を作り直したり、治療が長引き通院費が増えたりと、結果的に治療費がかさんでしまうことも留意しておきましょう。
「2期治療」の費用相場:約20~100万円(税別)
「2期治療」の治療方法は、いわゆる「大人の歯科矯正治療」とほぼ同じです。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正で、歯並びや咬み合わせを整えていきます。
「2期治療」では、歯の症状や目指す歯並びに応じて、矯正装置の種類を選択できる場合があります。
おもな治療方法 | 費用の目安 |
表側ワイヤー矯正 | 奥歯を含む全体矯正の場合:約18万円〜100万円(税別) |
裏側ワイヤー矯正 | 奥歯を含む全体矯正の場合:約30万円〜150万円(税別) |
マウスピース矯正 | 上下の前歯を中心とした場合:約10万円〜70万円(税別) 奥歯を含む全体矯正の場合:約50万円〜100万円(税別) |
「1期治療」と「2期治療」を受けるのが同じ歯科医院でなくても「1期治療」が済んでいれば、「2期治療」へ移行する時に料金が調整され、トータルの費用が安くなる場合があります。
この場合、「2期治療」から開始する場合と費用が異なります。
裏側ワイヤー矯正は装置が目立ちにくいメリットがありますが、一般的なワイヤー矯正に比べると費用が高くなる傾向にあります。
また取り外しが可能なマウスピース矯正は、部分矯正をするのか、奥歯を含む全顎を矯正するのかで費用に大きな幅があります。
マウスピースブランドによっても費用は異なるため、マウスピース矯正を検討する時は、どのブランドのマウスピースを使用するのか、歯科医院に確認してみましょう。
費用を少しでも抑えて矯正治療を受けるためには、どんな装置を扱っているか、さらには「1期治療」と「2期治療」を続けて行った場合の費用はどのくらいなのか、しっかりとリサーチしたうえで、お子さまに合った歯科医院を選びましょう。
調整料・処置料:無料〜1回約1万円(税別)
矯正歯科治療中、来院ごとにかかる費用です。歯並びの経過観察や装置の調整、歯みがきのチェック・指導料、装置を交換するための歯型採取料などが含まれます。
医院によっては治療費用に調整料が含まれている場合もあります。あくまで目安として参考にしてみてくださいね。
矯正歯科治療後にかかるお金
矯正歯科治療が終了した後は、歯並びが後戻りしないように歯を固定する保定装置(リテーナー)を装着する必要があります。
「1期治療」 保定装置代金:無料〜約6万円(税別)
保定装置(リテーナー)とは、矯正歯科治療後、歯並びが後戻りしないように装着する器具のこと。
取り外しができるワイヤータイプやマウスピースタイプ、針金を歯に固定するタイプなどがあります。
歯科医院により、保定装置(リテーナー)代が、矯正費用として料金に含まれている場合もあります。
「1期治療」のみで矯正歯科治療を終了する場合
→「1期治療」の後に永久歯の生えかわりまで経過観察後、保定装置(リテーナー)の装着が必要な場合があります。
「1期治療」の後すぐに「2期治療」に移行する場合
→「2期治療」の後に保定装置(リテーナー)を装着します。
「2期治療」のみで矯正歯科治療を終了する場合
→「2期治療」の後に保定装置(リテーナー)を装着します。
「1期治療」の後に保定装置(リテーナー)を使うかどうかは、その後の治療計画や歯や顎の状態によっても異なります。
「1期治療 」保定観察料:無料〜1回約5,000円(税別)
保定期間中は定期的に通院し、後戻りや咬み合わせなどの経過観察を行います。
低年齢のお子様の保定観察の場合、まだ乳歯が残っている場合があるため、永久歯への生え変わりの経過などをチェックし、虫歯予防の指導なども行います。
「2期治療」 保定装置代金:無料〜約8万円(税別)
「2期治療」終了後は、必ず保定装置(リテーナー)を使って歯を固定していきます。使用する保定装置(リテーナー)は、大人と同じものを使用します。
取り外しができるワイヤータイプやマウスピースタイプ、針金を歯に固定するタイプなどがあり、それぞれ価格も異なります。
歯科医院により、保定装置(リテーナー)代が、矯正費用として料金に含まれている場合もあります。
「2期治療」 保定観察料:無料〜約6,000円程度(税別)
「1期治療」後同様、保定期間中は定期的に通院し経過観察を行います。
歯の後戻り・咬合・歯肉炎・口腔内清掃状態の確認、保定装置(リテーナー)の再製作が必要な場合は歯形の採取が必要となります。
保定装置(リテーナー)の装着をさぼると、せっかくきれいにそろった歯並びが後戻りしてしまいます。
場合によっては矯正歯科治療をやり直す可能性もあるため、保護者の方がしっかりとサポートしてあげることが大切です。
よくある質問
また、指しゃぶりや口呼吸などの口に関するさまざまな癖(口腔習癖)など成長に影響を与える機能的な問題を改善させて、食べ物をかみ砕いて飲み込んだり、話をしたりする口の機能の発達を高めることが可能になります。
さらに、先天性欠如歯や埋伏歯などを早期に発見による適切な対応や症例によっては、歯が生えるスペースを確保して歯を抜かないですむ場合もあります。
子どものときから歯科矯正治療を始めると、定期的にお口の管理をするため、むし歯や歯周病などの歯科疾患の予防知識も身についてきます。
1.矯正治療の相談において、診療システム、抜歯の可能性、期間、費用など、検査をしなくてもわかる範囲内で大まかな説明はしてくれる。
2.頭部全体(横顔など)のエックス線撮影や歯の模型など、治療前に必要な資料を整え、それに基づいて検査・分析・診断を行い、治療方針について丁寧に説明してくれる。
3.治療をするかどうか迷っている場合に、無理にすすめたりしない。
4.できれば小児歯科、矯正歯科の専門医または認定医であること。
子どもの矯正治療の場合、小児歯科専門の歯科医院でも、むし歯や歯肉炎予防などの継続的なお口の管理を行いながら、歯の生え代わりなどの状況に応じて、最適なタイミングで矯正治療を行えることが多いと言えます。
双方とも、専門医か認定医であるか、標榜医なのかも確認してみてください。歯科医師なら誰でも診療科目は標榜できます。一方、認定医や専門医は矯正歯科学会や小児歯科学会が決めた基準を満たし、試験に合格したものに与えられる資格です。
現実には、全国で矯正歯科学会の認定医・専門医合わせて2,000人足らず、小児歯科学会の専門医は1,200人程度です。それに対して標榜されている医院は、矯正歯科が約20,000 医院、小児歯科は約40,000 医院です。つまり、標榜していても必ず専門医であるとは限らないのが実状です。
そのため、最終的にどの歯科医院で矯正治療を受けるかについては、ホームページなどで判断するだけでなく、Q2を参考に実際に医院で担当医による治療相談を受けてから、慎重に判断することが必要です。
また、近年、口呼吸や頬杖、うつ伏せ寝が歯ならびやかみ合わせに影響を及ぼすことがわかってきています。子どもの時から口の機能を高めたり、食事のときに口唇を閉じてしっかりかむこと、姿勢を正し、仰向けで寝ることなど、日常の生活習慣を改善することにより、歯並びやかみ合わせの異常を予防し、正常なかみ合わせが得られる場合があります。
一般的には、乳歯列期( 子どもの歯だけ)の料金は30,000 ~ 200,000 円、混合歯列期( 子どもの歯と大人の歯がまざっている) の料金は、150,000 ~ 600,000 円、永久歯列期( 大人の歯に交換後) の料金は、500,000~ 1,300,000 円とかなり幅があります。
ただし、子どもの歯のときから治療を開始して大人の歯に交換していく場合は、料金の調整をしている医院が大多数だと思います。
また、乳歯列を含めて混合歯列期を一期治療と表現して、その後永久歯列になってからの治療を二期治療と表現している歯科医院もあります。
さらに、歯科医院によっては、通院ごとに調整料を算定する場合もありますので、良く確かめてから契約しましょう。
1. 患者さんの協力が得られない場合。(予約を守らなかったり、患者さんの協力による装置の使用の理解が得られないとき)
2.患者さんの成長発育が治療計画時の予測を超えている場合。(過成長や劣成長になった場合)
3.口腔習癖や口呼吸など、口腔機能に不正咬合の原因があり、それを本人も含めて治せない場合。
4.転居や転医で治療方針が一定しない場合。(引っ越しや主治医の変更に伴う場合が多い)
歯並びやかみ合わせは口唇、頬、舌など口の周りの筋肉の影響を受けています。歯ならびが再び悪くなってきた理由はさまざまありますので、原因により再治療の費用も異なります。
そのためにも、治療を開始する際にしっかりと説明を受け、十分納得してから治療を開始しましょう。
問い合わせ
ワラワラデンタルクリニックでは口呼吸や小児矯正についてのご相談をお受けしております。
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